ISSとIoTによる動物行動研究のイノベーション


皆さんはイカロスをご存じでしょうか?


ギリシア神話に登場する蠟の翼で自由自在に空を飛んだとされる人物です。

 

その神話の時代の人物の名前を冠した動物行動研究のためのプロジェクトがあります。

 

宇宙から動物を観察するための国際協力【イカロス】はドイツにあるマックス・プランク動物行動研究所https://www.ab.mpg.de/verhaltensbiologie)が中心となったプロジェクトで、衛星を利用した動物の行動パターンを追跡するためのものです。

 

プロジェクト自体は2002年から動き出していますが、昨年2020年に国際宇宙ステーション(ISS)を利用した実運用が開始されました。

 

実は衛星による動物追跡のシステムは1980年代後半にフランス国立宇宙研究センター (CNES)、アメリカ航空宇宙局 (NASA)、アメリカ海洋大気局 (NOAA)の共同開発によるアルゴスシステム(https://www.argos-system.org/)で実現されていました。

 

イカロスもアルゴスシステムも動物に位置情報を送信のための送信機を体に装着する必要があります。

 

アルゴスシステムでは高度850kmに浮かぶ衛星を利用する都合上、大型の送信機を体に装着する必要があるデメリットがありました。


大型の送信機を使わざるを得ないと言うことは、行動追跡の対象となる動物も大型のものに限られてくると言うことです。

 

その点イカロスは地球からの距離としては半分以下のISSとの通信になるので送信機は小型のものが利用できます。


つまり今までその行動を観測することが困難だった鳥やコウモリ、小型の動物や水棲生物にも適用出来ると言うことなのです。


また、IoT技術の発達により省電力での送信が可能となり長期間の観察も可能となりました。

 

では、鳥などの行動研究はどの様なメリットがあるのでしょうか?


ひとつは日本でも度々猛威を振るう鳥インフルエンザの警戒に使える可能性があります。

 

鳥インフルエンザのウイルスを運ぶとも言わている渡り鳥は毎年世界中を移動します。


今まで渡り鳥たちがどんな経路で飛ぶのかはほとんど知られてはおらず、その死についても、どこで、どの程度の数が、そしてその死亡原因も明らかではありませんでした。

 

イカロスを利用することで、それらが明らかになれば早期対策の立案に大いに役立つことでしょう。

 

また、動物は人間以上の様々な感覚器官を持っているものが多く、地震や火災、噴火、干ばつなどの自然災害を事前に察知して行動するものたちがいます。

 

その情報をイカロスによって人間が事前に掴むことが出来るとしたら、何千人、何万人と言う人の命を救う切っ掛けになるかも知れません。

 

IoT技術がさらに発展することにより、より小型の送信機の開発が可能となれば、さらに小型の動物や昆虫などの追跡もが可能となり、より多くの病害への対策や、自然災害への対応が可能となるでしょう。

 

今後もイカロスのプロジェクトから目が離せません。

 

ICARUS Global Monitoring with Animals

 

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