イノベーションを起こそう!(連載第15回)


A イノベーションロジック

その3 どうやってILの種をみつけるか

 

2) 問題分析


 

 前回は,問題の事実を聞き出す,論理の飛躍を正すと単一の問題にする,を解説した。
今回は,「他にないか」と「何が一番」,最終的に問題構造を文書化する,を解説する。



(3)どんな技で問題分析を進めるか

 

E)「他にないか」と「何が一番」

 人は,一つの問題を思いつくと,他の可能性を考えず,その問題からどのような悪影響があるか,その問題はどのような問題が原因か,垂直方向の思考にとらわれがちだ。
そこでファシリテータは,垂直方向に行きがちな流れを止めて,「他にないか」と問わなくてはならない。

 
「他にどんな悪影響がありますか」,「他に考えられる原因は何ですか」と問うのだ。

 
 あるいは不慣れなうちは,最初に「悪影響も原因も三つ以上出してから次に進みましょう」とルール設定してもよい。

 垂直方向への展開の方がスピード感は得られるが,それ以上に水平方向への展開は重要な場合が多い。

 水平方向に展開した悪影響や原因は,基本的にすべて次の垂直方向への展開を行うのだが,問題解決には重点思考が求められるので,水平方向に展開した悪影響及び原因について,

「この中で何が一番大きいですか」や
「これらの発生頻度を直観でよいので比率分けして下さい」のように,

優先順位をつけていくことで,限られた時間あるいは限られた集中力の中で,重要なものから議論できるようにする。

 

F)最終的に問題構造を文書化する

 問題分析のセッションでは,何が重点的な問題か,どのように改善すればよいか,参加者全員が合意できた気になる。

 しかし,それはセッションの興奮状態がそう思わせている部分もあり,時間が経ったあとで合意が継続しているか怪しいことが多い。そこで重点的な問題ごとに,担当を決めて,あるいはファシリテータが,重点問題説明書を残すのだ。

 重点問題説明書を起こすことで,セッションに参加していない,今後のイノベーションの関係者にも共有ができる。

重点問題説明書は難しいものではない。次のポイントを押さえればよい。


 ① 問題の状況(論理的にどのような問題か,問題の事実情報)
 ② 問題による悪影響
 
(顕在している悪影響,潜在している悪影響,悪影響の事実情報)
 ③ 問題の原因
 (論理的にどのような原因によって問題が発生しているか,原因の事実情報) 

 

 次回は,問題分析を行うべき問題の予兆をいかに見極めるかを解説する。

 

つづく

 

株式会社データ総研
コンサルティンググループ
シニアコンサルタントマネージャ
大上 建 (Takeru Daijo)

 

 

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