A イノベーションロジック
その3 どうやってILの種をみつけるか
2) 問題分析
前回は,問題の事実を聞き出す,論理の飛躍を正すと単一の問題にする,を解説した。
今回は,「他にないか」と「何が一番」,最終的に問題構造を文書化する,を解説する。
(3)どんな技で問題分析を進めるか
E)「他にないか」と「何が一番」
人は,一つの問題を思いつくと,他の可能性を考えず,その問題からどのような悪影響があるか,その問題はどのような問題が原因か,垂直方向の思考にとらわれがちだ。
そこでファシリテータは,垂直方向に行きがちな流れを止めて,「他にないか」と問わなくてはならない。
「他にどんな悪影響がありますか」,「他に考えられる原因は何ですか」と問うのだ。
あるいは不慣れなうちは,最初に「悪影響も原因も三つ以上出してから次に進みましょう」とルール設定してもよい。
垂直方向への展開の方がスピード感は得られるが,それ以上に水平方向への展開は重要な場合が多い。
水平方向に展開した悪影響や原因は,基本的にすべて次の垂直方向への展開を行うのだが,問題解決には重点思考が求められるので,水平方向に展開した悪影響及び原因について,
「この中で何が一番大きいですか」や
「これらの発生頻度を直観でよいので比率分けして下さい」のように,
優先順位をつけていくことで,限られた時間あるいは限られた集中力の中で,重要なものから議論できるようにする。
F)最終的に問題構造を文書化する
問題分析のセッションでは,何が重点的な問題か,どのように改善すればよいか,参加者全員が合意できた気になる。
しかし,それはセッションの興奮状態がそう思わせている部分もあり,時間が経ったあとで合意が継続しているか怪しいことが多い。そこで重点的な問題ごとに,担当を決めて,あるいはファシリテータが,重点問題説明書を残すのだ。
重点問題説明書を起こすことで,セッションに参加していない,今後のイノベーションの関係者にも共有ができる。
重点問題説明書は難しいものではない。次のポイントを押さえればよい。
① 問題の状況(論理的にどのような問題か,問題の事実情報)
② 問題による悪影響
(顕在している悪影響,潜在している悪影響,悪影響の事実情報)
③ 問題の原因
(論理的にどのような原因によって問題が発生しているか,原因の事実情報)
次回は,問題分析を行うべき問題の予兆をいかに見極めるかを解説する。
つづく
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シニアコンサルタントマネージャ
大上 建 (Takeru Daijo)
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