イノベーションを起こそう!(連載第13回)


A イノベーションロジック

その3 どうやってILの種をみつけるか

 

2) 問題分析


 

 前回から投稿に時間が空いてしまった。
 原因は使用しているPCの故障で,3週間弱の修理期間は執筆中の本稿にアクセスできなくなったことだが,長期間のブランクはバックアップを怠っていたことによるものだ。ちょうど問題分析を執筆している中,我ながら情けないことだと反省している。

 前回までで,問題分析対象領域の業務はどのようなものか,問題分析そのものはどのようなものか,重点問題からどのようなILを創造できるのか解説した。
今回から,問題分析を進める技術を3回に分けて二つずつ解説する。

今 回:キーパーソンを見つける,捨て置けない悪影響がある問題かを評価する
次 回:問題の事実を聞き出す,論理の飛躍を正すと単一の問題にする
次々回:「他にないか」と「何が一番」,最終的に問題構造を文書化する



(3)どんな技で問題分析を進めるか

 

A)キーパーソンをみつける

 問題分析は,問題の実態を知っている人の知識の集積によって成立する。
 問題分析においてキーパーソンとは,高い意識をもっていて,かつ問題の実態を知っている人のことだ。事前にキーパーソンがだれか分かっていれば絶対に参画させなくてはならない。しかし事前には分からない場合,セッションの中でキーパーソンを見つけるしかない。

 セッションに集まった参加者の中からキーパーソンを探すのは難しくない。キーパーソンは具体的に多面的に問題を言える人だ。
 また,問いかけに応じて事実情報を答えることができる人だ。キーパーソンとは呼べない人は,抽象的なことばでいくつかの問題を言ったあとは手が止まる。

 問題分析は,魔法を生むわけではない。ファシリテータが問題領域に深い理解をもっていた場合,参加者を誘導して参加者が本来到達できる以上の結論に導くこともできるが,参加者にその合意を継続させることは難しく,「言わされた」意識が残ってしまう。問題分析では,一番背の高い人が背伸びをしたくらいの高さまでが継続まで考えたときの到達点なのだ。キーパーソンを見つけるのは,セッションの到達点を見極めるために重要なのだ。

 

B)捨て置けない悪影響がある問題かを評価する

 問題は,参加者個々にとって在るべきと思うものと現状の認識の差なので,在るべきと思うものも現状の認識も人によってさまざまだ。当然そこには主観も作用する。そこでフォーカスして議論すべきものを合意させる技が要る。
 まずは問題そのものを定義させる。5W1Hの要素を押さえよう。次に,その問題によってどのような悪影響があるかを確認する。

 例えば「在庫が見える化されていない」という問題が出されたとする。まずはその問題の定義を聞こう。すると「一般品は翌日にならないと分からない」ことや「預託品が月次棚卸まで分からない」ことなどが明らかになる。
 次に一般品の在庫把握が翌日になることや預託品の在庫把握が月末になることで,一体どのような悪影響が発生しているか確認しよう。すると預託品は顧客である預け先が数量を決めていて月中に在庫を把握できてもコントロールしようがないことや,ほとんどの受注が日次のEDIなので,在庫が把握できなくても大きな問題はないことが分かるというように,その問題によって何が起きているかまで確認することで,本当に分析すべき問題が何か特定できる。


このように,思考力がトレーニングされていない組織では,在庫は把握できていないより把握できている方がキレイだ,くらいの間隔で提起されている問題が多く,まさに玉石混交なのだ。


 

 

次回は,問題の事実を聞き出す,論理の飛躍を正すと単一の問題にする,を解説する。

 

つづく

 

株式会社データ総研
コンサルティンググループ
シニアコンサルタントマネージャ
大上 建 (Takeru Daijo)

 

 


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