"機械を使う"ことの壁


KR(かーる)です。 私の住む貸家が先日スマホアプリで各種申請を管理するようになりまして。
住んでいる方の年齢層が広いためか、案の定導入の仕方や利用の仕方なんかを管理人さんに聞きに行く人が何人かいらっしゃって、その応対に追われているみたいです。
その日一回きりのやり直しがきかない機能があったりして、毎日一回ずつの操作で質問される羽目になっていたりもして大変そうでした。
そういうやり取りを見て、"機械が苦手な原因と克服"というテーマでぼんやりと、長々とした思考が食事中の10分の間に働いた、という話をしたいと思います。


機械が苦手な理由

完全に個人の主観ですが、機械が苦手であるということは以下が不足しているためだと思っています。

1.操作方法の理解
機械が使えない人の中には、使う機械そのものを見た時に、何をしたら良いのか分からずに固まってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
電源ボタンが分からない、マウスの右クリックと左クリックの違いが分からない、何をしたときに何が起こっているのか分からないetc...
つまり、機械に付属する操作部がどこなのか見極められないこと操作部をどのように動かすのか知らないことの2つが不足していると思われます。
まずは一つ一つ、部品と動かし方を学ぶところから始める必要があります。

2.専門的知識
モノの使い方の説明を受けている時、聞いたこともない用語が飛び出してくることがあると思います。
例えば、モノの名前であるならモニターやキーボード、マウス、操作方法の名前であるならクリック、スライド、フリック...
例に挙げたものはIT業界に係わっている人ならば凡そ専門用語とも認識できないようなものですが、そうでない人は結構います。私は遭遇しました。

3.問題対処能力
上で挙げたのは、"What"の話ですが、こちらは分からなかったときにどうすればよいのか、すなわち"How"の話です。
分からないので考えることをやめるというのはよくあるパターンですが、重要なのは何が分からないのか明確にすること、そして調べることです。
自分もよく何が分からないのか分からないという状況に出くわしますが、そういう時は基本的にゴールである、"これで何をしたいのか"が決まれば大体は解決します。

最終的には、機械の苦手を克服するには3.問題対処能力を身に着けて下さい、というのが私の意見です。
分からない、に直面した時、何が分からないかをまとめ、次に一つずつ、どうしたらよいのか調べ、実行する。この過程で分からないことが出るたびにこれを繰り返し、地道にゴールを目指す。これが確実です。

大抵の製品には取扱説明書があります。
取扱説明書を読め、とはよく言われる言葉ですが、読み込んで覚えておけとまでは言いません。
わからないときに取り出し、目次から目的のページを見つけ、必要な情報を取り出す習慣をつけると良いと思います。
(まともな説明書がない製品はそもそも使わせる気がないんじゃないかというのが私の説です。)


ユニバーサルデザインという考え方

ここまで機械が苦手な人の視点から考えたことをまとめました。
ただ、私はユーザーフレンドリーでない、強いる作りになっているものというのは、一方的な考え方の押し付けのようであまりよくないように感じます。

そんなわけで、作り手側から歩み寄るための考え方がユニバーサルデザイン。
"年齢、能力、状況などに係わらない、デザインの最初から、できるだけ多くの人が利用可能にすること"を目指したものです。
ユニバーサルデザインには7つの原則があり、その中でも今回のテーマに関係する項目があります。
それが、"使い方が簡単で自明であること。"
機械が苦手な理由の1.操作方法の理解にあたるものです。

そうです、見てすぐわかるなら説明も何も必要ないわけです。
ただ、少し考えてみても、これを達成するのはなかなか難しいです。
特に、自明であることの部分。類似の操作対象と類似の操作方法が広く一般に知れ渡っているものであると私は考えましたが、例えば最初の話に戻ってスマホアプリの使い方を既知の物品と同じような操作方法で使える見た目にするにはどうするとよいか...。読書アプリならページが重なっているようなイラストの上に文字を表示して、ページはスライドでアニメーションするとかなら考えられますけど。
次に考えたのはそもそもの操作が分かりづらいスマホ自体はどうしたら良いのか...私にはわかりませんでした。
自明であるデザインを簡単に作ることのできる人がいるとしたら、それは発明家なのではないかなと思います。


あとがき

なんでこれがイノベーションの実現なの?という話。

始めにした管理用のスマホアプリの話で、どうしたら良いのかわからないといった質問が連日でているところを傍から見ていたわけです。
それってつまりどれだけ利便性の高いものを作ろうとも、使われる先でこれだけ使い方がわからない人が出ているとしたら、まともに想定通りの運用ができているとは言い難いのではないかなと感じたわけです。

私がIoTに興味を持っているから出てくる発想なのですが、だとしたら、どれだけ高度な技術革新があったとしてもまともに扱われなければ技術革新自体無いことと同じなんじゃないかなと。
従って、イノベーションの実現に際して、特に広く普及されることを前提とした技術であるならば、"使い方が簡単で自明であること"は限りなく追求されなければならない、というお話でした。

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