論文レジュメ両面用紙級長文ブログ投下者KR(かーる)です。
今回はRFIDチップ、一般にはICタグやマイクロチップと呼ばれているものについて調べました。
毎度の如く長ったらしく全く読みやすくなく拙い文章ですが、それでも問題ないという方は読んでいただけると幸いです。
RFIDチップの概要
RFID(Radio Frequency Identification)とは自動認識技術の一つである。
リーダライタを用いて通信を行い、個体識別や存在検知用のタグとして利用されている。
製造や運搬過程の状況監視や入出庫処理、交通誘導に個人認証など、広く応用されている。
通信機能によりデータベースとの連携も取りやすく、IoTシステムとの関連も深い。
RFIDチップの仕組みと特徴
基本構成はデータを備えるIC部分と通信を行うアンテナ部分の2つに分かれる。
アンテナ部分はICが通信に利用する周波数用に調整されたものが用いられる。
ここで利用される周波数には中波帯(120~130kHz)、短波帯(13.56MHz)、極超短波(900MHz帯)、マイクロ波(2.45GHz帯)がある。
極超短波以外は世界的にほぼ同一規格になっているが、極超短波のみ国によって規格が異なる。
RFIDチップには2つのタイプが存在し、自ら電波を送信するアクティブ型とリーダライタから通信が行われた際に稼働するパッシブ型がある。
・アクティブ型
アクティブ型は自ら電波を発して、対応する受信機に対して常に情報を飛ばしている。
通信距離は約10m。
電波を飛ばすための電源としてバッテリーを備えており、これによってさらに周囲環境や物体の状態変化を取得するためにセンサーを取り付けて利用することもできる。
ただし、バッテリー駆動のため電池が切れると利用できなくなる。
寿命は一般的に1~2年、センサの量や消費電力によってはこれよりも短くなり、大容量バッテリーを付けた5~8年程度のものまである。
また、付属品が多くなるたびに大型化・高額化するため、設置方法や設置スペース・範囲などを考慮する必要がある。
・パッシブ型
パッシブ型はアクティブ型と異なり、電源を備えていないため自ら情報発信を行うことはない。
リーダライタなどから発せられる電磁波が存在する範囲に侵入するとIC部分に備えられたコイルが電流を発生させ、それを動力源として情報を飛ばす。
従ってアクティブ型と異なって固定の情報のみ取り扱うことができ、基本的に小型の製品である。
通信距離は一般的に中波帯:~10cm、短波帯:~30cm、極超短波:~5m、マイクロ波:~2m。
寿命は明言されているものでは10年程度。
利点
1)リーダ一つで複数のタグを同時に読み取れる
従来のバーコードやQRコードはリーダを使って一つづつ読取りを行う必要があった。
これをRFIDに置き換えると、通信領域に入ったRFIDが情報を送信してくれるため、まとめて情報を取得できるようになる。
2)距離が離れていても読み取れる
通信領域に入れてしまえばRFIDからの情報取得は行われる。
3)ケース内・物体内でも読取りが可能
梱包時にRFIDタグを商品に付けたまま、外箱に改めてバーコードなどを取り付ける必要がなくなるほか、1)と合わせて複数商品を箱から取り出さずにそのまま読み取ることができる。
4)汚れを無視して読み取れる
バーコードであれば表面に汚れが付いたりテープが重なるなどした場合に読み取りができなくなるが、RFIDは通信を介して情報をやり取りするためタグそのものが汚れたり覆われていてもそのまま読み取り可能。
従って、RFIDは情報伝達能力において非常に高い信頼性・簡便性を持っていると言える。
ものによっては樹脂に封入されており、耐久性にも優れる場合がある。
活用事例
・入退室機能及び交通パス機能
RFIDチップを導入し、関係者のみ認識して人の出入りを制限、施錠解錠なども簡単になる。
また、交通パスとして機能し、個人認識情報から利用料金の支払いなどもできるようになる。
こちらはSuicaなどカードとして一般社会に広く普及している。
・貸出物管理
RFIDタグをつけることで情報読取りを即座に行えるようになる。
このため、貸し出し返却処理の作業効率が向上する。
・棚卸管理
商品ごとに個別の情報を持たせたRFIDタグを導入。
在庫数計測や状態管理などが容易になる。
・レジ打ちシステム
商品情報や値段入力などをRFIDを備えたタグを用いて即座に読み取らせることができる。
これにより、レジ打ち作業の効率が向上する。
・万引き防止
商品にRFIDタグを備えることで、万引き防止システムと連動させて店舗外への持ち出しを監視できる。
・ペットの身分証明機能
ペットの体内にRFIDチップ(この場合にマイクロチップと呼ばれることが多い)を備えさせることで、行方不明になった際や災害時に同行避難ができなくなった際、後日発見者などが飼い主を特定して送り返すための手段として有効に働く。
2022年6月よりペットショップではマイクロチップ装着の義務化が行われる。
安全性・セキュリティについて
1)一部の人は利用できない
RFIDの特徴は通信による情報伝達であるが、植込み型医療機器(ペースメーカーなど)を用いている人はそもそも通信機器に近づくと誤動作による事故が起きてしまうためこれらを利用することはできない。
2)個人情報の流出、改ざん
パッシブ型RFIDチップはリーダが電磁波を発すれば情報を返し、ライタがあればその情報を書き換えることができる。
そこでは特定状況に応じてそれらを防止する方法がなく、特に個人情報と紐づけられるような内容を保存しているRFIDチップは情報流出の危険について常に考えなければならない。
近年、インプラントによって個人認証に用いられる事例が増えてきているが、メモリ内に格納されている情報自体は個人の特徴情報を持たないものの、それらを管理する場所への問い合わせや関係者以外立ち入り禁止になっている領域への侵入など、RFIDと個人情報を紐づけたシステムが多くなれば多くなるほど悪用の事例やリスクが高まると思われる。
また、リーダから簡単に読み取れることと同様に、ライタによってもメモリの情報は書き換えられてしまうため、いたずらに上書きされてシステム利用の妨害も行われてしまう。
そのため、RFIDチップを用いる場合には何かしらのセキュリティ対策を導入することが必要不可欠になるのではないかと思われる。
3)所在や行動監視の容易性
端末認証、施設入退室、自販機利用などにもRFIDが活用されてきているが、RFIDを導入したシステムが多くなればなるほどその人の行動が詳細に監視できるようになり、企業のマネージャなどであれば過干渉になるほど管理しやすく、犯罪者であれば所在特定や行動パターン特定、ストーキングなど悪用しやすくなってしまう。
まとめ
RFIDチップは非常に利用・応用が容易で便利な自動認識技術の一つである。
あらゆる分野に普及・利用されていることからわかるように今後の社会運営の簡便化や効率化に大きく貢献する技術としてこれからも活躍していくと思われる。
一方で、一部の人が利用できないことからサービス享受の格差につながることや、関連システムの普及が進むことによって行動可能領域が狭くなり逆に生活を困難にしてしまう可能性も秘めている。
また、RFIDを個人認証に活用する事例も増えてきているが、その情報のやり取りの簡単さから情報の抜き取りや悪用も容易であることが考えられるため、セキュリティ対策を早急に講じる必要があると思われる。
それには、日本のマイナンバーカードがマイナンバーだけでは個人情報に関する手続きが行えないように、身分証明書や生態認証など他人が絶対に持ちえない・真似できない情報などと併用するなどが考えられる。
運用目的によっては大きなリスクやその対策としてコストを支払う必要が生じる可能性があるものの、様々な便利なシステムが生み出される可能性を秘めた素晴らしい技術であることは間違いない(と、私は思う)。
その恩恵を得るためにも、RFIDチップをより安全に使える仕組みを考えていく必要がある。
(ちなみに対策の一環として、RFIDを搭載したカードの中にはRFIDブロックカードと呼ばれる、情報盗難防止用のブロッキングシールドが添加されたカードが存在しています。)
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