イノベーションを起こそう!(連載第10回)


A イノベーションロジック

その3 どうやってILの種をみつけるか

 

1) 成功分析:組織内の成功を基にILを創出する(つづき)


 

9回で,有能者のノウハウを抉り出す技術(バリュリスニング)があり,なぜその技術を用いないとノウハウを抉り出すことができないかを解説した。今回は,第3回~8回で解説した成功分析で創出したILを,いかにして組織の中で普及・展開すればよいか,IL創出のまとめを解説する。

 

(6)  成功分析で創出したILを,いかにして組織の中で普及・展開するか

■ 方法論化

 社内の成功を基にイノベーションをデザインするには,第8回で解説した「方法論」を用いる。第6回で短い言葉「理論と実践を融合させる」を大切にしていた開発設計職の成功を基にしたILの創出を解説したが,この有能者から抽出したノウハウを基にしたIL「標準の適用前提から確認し妥当な標準にして設計する」が分かっただけでは,一般の技術者が有能者と同等のパフォーマンスを上げることは難しい。そこでこれをコンセプトとして方法論のフレームワークに展開する。

 

 

■ 果たして有能者は自分のノウハウを開示するか

 成功分析は,有能者に対してノウハウの調査を行ってノウハウを丸裸に解明する行為だ。そこで疑問になるのは,果たして有能者は自分の優位性を失うかもしれないノウハウ調査に対して自分のノウハウを開示するか?という心配だ。
 その答えは杞憂だ。我々が行ってきた調査では,本物のノウハウをもつ有能者が自分のノウハウを隠したいと協力を拒んだことは皆無だ。例外なく自分のノウハウが論理的に解明されることを喜んでくれた。きっと協力してくれた有能者は,論理が明確になった自分のノウハウを,さらに進化させて実践していくことだろう。

 

■ 有能者のノウハウが示されて,他の人はやっかみをもたないか

 有能者が自分のノウハウを開示するかという心配は杞憂だが,そのノウハウが標準化され,それに従わなければならない状況になったときに,やっかみを感じて従わない心配は,残念ながら必要だ。もちろんその心配が必要か否かは組織の文化風土による。しかしやっかみが存在する場合,その後ろ側にあるのはプロフェッショナル・ジェラシだ。これは普通の嫉妬に比べて感情が表に出てこないので非常にやっかいだ。周囲にある程度の影響力をもつ人物がプロフェッショナル・ジェラシをもつと,理由をつけて周囲を巻き込んでそのイノベーションの推進に抵抗される。

 このようなプロフェッショナル・ジェラシの存在が感じられたら,うまくその相手を持ち上げてイノベーションに協力的なスタンスに変えなければならない。例えば,「昔,先輩から教えてもらったやり方をずっとやり続けていたんですよ。ありがとうございました。」のようにもっていく。

 

■ 論理を受け入れるオープンな文化風土を形成しよう

 上記のプロフェッショナル・ジェラシによる抵抗ほどでなくても,イノベーションを組織に展開する上では,関係者に積極的になってもらわなければならない。そこでイノベーションの推進者は,関係者に対してリターンの上がる論理を切々と訴え,受け入れさせていくべきだ。そして受け入れてくれた人に対して,そのイノベーションによる成功を,それが例え小さなものでも,褒めて伸ばすのだ。そうやって,論理を受け入れるオープンな文化風土を形成しよう。

次回から,問題分析によるIL創出の解説を始める。

 

つづく

 

株式会社データ総研
コンサルティンググループ
シニアコンサルタントマネージャ
大上 建 (Takeru Daijo)

 

 


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