イノベーションを起こそう!(連載第8回)


A イノベーションロジック

 その3 どうやってILの種をみつけるか

 

 1) 成功分析:組織内の成功を基にILを創出する(つづき)


 

4回~第7回で,有能者が大切にしている次の短い言葉について,その成功のファクトとファクトを意味解釈して創出したILを解説した。今回は,これら短い言葉の正体について解説する。

   ✓ 営業職 「11回行く」           :前々回解説済み
   ✓ 営業職 「顧客接点営業を育てる」    :前回解説済み
   ✓ 開発設計職 「理論と実践を融合させる」 :前回解説済み
   ✓ 開発設計職 「前提を疑う」       :前回解説済み

 

(5)ノウハウを表す短い言葉の正体は,コンセプトだ


 ■ ノウハウを形作る「短い言葉」の正体は,方法論のコンセプトだ

 例えばステーキハウスでは,うまいステーキを焼くことが狙いだ。うまくステーキを焼くシェフを見ていると,網焼きや鉄板焼きなどの方法や,まず両面を強火で焼く……に始まる手順,グリルやフォークなどのツールを駆使している。これを誰かに説明しようとして書き物にすると,きっとかなりな分量になるだろう。しかし,腕の良いシェフは,「肉汁が命」だというコンセプトを肝に銘じている。網焼きや鉄板焼きなどの方法や,まず両面を強火で焼く……に始まる手順,グリルやフォークなどのツールは,すべてこの「肉汁が命」というコンセプトを支えるための存在で,いくらそれら方法,手順,ツールをよく知っていても,「肉汁が命」というコンセプトなしには,機能的に統合されることがないのだ。つまり,腕の良いシェフは,仮にキャンプ場で満足な環境がなくても,「肉汁が命」というコンセプトから身近なものを使って,やはりうまいステーキを焼くことができる。その意味で,コンセプトは意味論的であり,方法,手順,ツールは記述的存在だ。

 

 ■  方法論の構造はこうなっている

 方法論とは,科学や芸術の領域で,その狙いを達成するための,「コンセプト」,「メソッド(方法)」,「プロセス(手順)」,「ツール」から成る一連のシステム(関連する組み合わせ)だ。よく次の絵を描いて説明する。

 

 ✔「コンセプト」とは,狙いに寄与する根本的な考えのことだ。方法論の価値は,このコンセプトが優れたものであるかどうかで決まる。

 ✔「メソッド(方法)」とは,コンセプトを実現するための主要な技法や手法,技術などだ。

 ✔「プロセス(手順)」とは,コンセプトおよび方法から展開された仕事の進め方であり,業務フローなどで表現される。

 ✔「ツール」とは手順の中で用いられる,設備,運搬具,冶工具などを扱うためのモノや,帳票,コンピュータシステムなどの情報を扱うためのモノだ。

 

方法論の解説が,うまいステーキを焼く例だけではいかがなものか,となるので,生産システムを例に説明すると次のようになる。

 

 

 有能者のノウハウは,方法論のコンセプトに相当する。組織で,多くの人が共有しなければならない業務では,うまくやるためのやり方を,方法,手順,ツールまで記述する必要がある。しかし有能者が個人でうまくやるのであれば,コンセプトについての理解さえあれば,方法,手順,ツールは無意識の世界で状況に合わせて展開しているのだ。

 有能者のノウハウを基に,組織で共有してイノベーションを起こそうとすれば,ノウハウの方法論化が必要になる。

 

次回は,ノウハウを抉り出す技術(バリュリスニング)を解説する。

 

つづく

 

株式会社データ総研
コンサルティンググループ
シニアコンサルタントマネージャ
大上 建 (Takeru Daijo)

 

 


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