「Internet of Things」
ズバリIoTの名前を冠したこのシリーズでは「IoT・モノのインターネット」として知られる「Internet of Things」への弊社の取り組みをご紹介してまいります。
IoTという言葉をよくに耳にするようになったものの、高品質なIoTを中小規模ビジネスに導入するハードルはまだまだ高いと思われているようです。
家電製品や車など、「IoTは既製品」のイメージが先行することもあり
「うちの業務にIoTを導入できるとは思えない」
という感触を持たれている方もいらっしゃるようです。
この連載で「既製品のIoT」ではない、皆様のビジネスに適用可能な「モノのインターネット」の姿をお伝えできればと思います。
内容にご興味を持たれましたら、お気軽にご連絡ください。
小さな疑問でも全然問題ありません!
「Internet of Things」とは言うけれど……?
IoT、Internet of Thingsとは何でしょうか?
その言葉の通り「モノ」と「インターネット」の接続という答えは、もちろん正解です。大きな概念として。
とはいえ、一口に「IoT」と言ってもカタチや規模は多種多様です。
実際の例で考えてみると、その領域の広さを実感されると思います。
冷蔵庫やオーブンレンジなどの身近な家電製品は、いち早くインターネット接続に対応しました。家電量販店に行けばIoT対応の製品が当たり前に売っています。
AIを搭載したスマートカーも珍しくないですし、ウェアラブルを利用した遠隔医療、公共交通機関の運行管理や、ロボット・ドローンが働く物流基地など、いやま生活のいたるところでIoTが活躍しています。
IoTの「T」、Thingsという単語が意味する「モノ」。
ありとあらゆる「モノ」。
この表現は大げさではなく、全ての形あるモノがセンサーでデータ化され、インターネットにつながる可能性を秘めています。
変化したインターネットの役割
過去に「ネットサーフィン」という言葉が流行しましたが、技術進歩によってインターネットは「見るもの」から「つなぐもの」へと姿を変えました。
「つなぐもの」とはどういうことでしょうか?
モノがつながるとはどういうことでしょうか?
インターネットが進化したから魔法のようにつながってしまうのでしょうか?
そうではありません。
IoTは、決して特別ではない普通のシステムが組み合わさって出来ています。
では、モノを「つなぐ」道具を具体的に見ていきましょう。
農業IoTプロジェクト
パブリックリレーションズは創業当初より農協の基幹システム開発に携わるなど、農業との関わりを深くしてきました。数年前からは主体的に農業に取り組むようになり、実験農場でITと農業をつなぐソリューションの開発に取り組んでいます。
また、弊社には「市民農業講座 さっぽろ農学校 専修コース(新規就農者育成)」卒業生の「JGAP審査員」と「有機JAS(オーガニック)検査員」有資格者がおり、卒業後も継続的に農業に従事しています。
参考:食の安心と安全の認証”JGAP”コンサルティング承ります
https://www.public.co.jp/j-gap/
https://www.public.co.jp/it-ismsconsul/
ということで今回は、いくつかあるIoT案件のうち、社内プロジェクトとしてスタートしたばかりの農業プロジェクトを例にIoTの現場をご覧いただきたいと思います。
本プロジェクトの目標は、IoTを利用した農園・圃場の遠隔・自動管理によって労働負荷を軽減し生産性を向上させることです。
過酷な北海道の屋外環境であること、「野菜」という生きもの相手のプロジェクトであることなど、越えるべきハードルはいくつもあります。
実験的側面をもつプロジェクトではありますが、メンバーが問題をどのように解決し、農業IoTシステム構築がどうやって進んでいくのか?がイメージしやすいかと思います。
農業IoTシステムを実現する機器
IoTシステムには、モノの状態をデータ化するセンサーと、コストを最小限に抑えたIoT用のネット接続が必要です。
今回はSiMICS (サイミックス) 社のNSOS-100をセンサーとして採用しました。
「電池・電源・配線不要」をうたっているいる農地ハウス向け長距離気象センサーシステムです。
「NSOS-100」とシーケンサーの間はEnOceanプロトコルでの通信で、シーケンサーからインターネットサーバー(AWSを使用)へのデータ送信はIoT界隈で定評のあるSoracomを使います。
※Soracom Airを使用した別のお話は・・・・・・。
参考:SORACOM Airを使ってみた! 農業IoT -その2
センサーシステムNSOS-100には下記のセンサーが含まれており、全てが防塵・防水・IP67仕様です。
ケーブル接続部分は専用の防水インターフェイスとなっており、しっかりと防塵・防水対応です。風雨にさらされる屋外環境でも安心して使うことができます。
通風フード付き 温湿度センサー (SX-95ER201)
農場の温度・湿度を計測するセンサーです。
通風フードがついているため、直射日光からセンサーを隠しつつ風を通しながらも、空気がこもらない設計になっています。
学校にあった百葉箱を思い出すカタチをしています。
(地上からの高さは百葉箱と同じくらいに設置しようと思います。設置編は次回)
農業用照度センサー (SX-95ER202)
半球形のセンサーが周囲の明るさを計測します。
明かりのない夜間には0Lux、雲のない晴天には最大100,000Luxの明るさまで計測可能です。
土中温度センサー (SX-95ER203)
マイナス40度の極寒から60度の酷暑環境まで対応する土中温度センサーです。
気温の影響を排除するためしっかりと根元まで土中に差し込みましょう。
土中水分センサー (SX-95ER204)
相対水分量を計測するセンサーです。
0%VWCから100%VWCまで対応。
「土中」の水分だけ計測するように、こちらもしっかりと根元まで土中に差し込みます。
(当たり前ですが、根元が地上に出ていると計測値が安定しませんでした)
送信機 (SX-95ER101)
NSOS-100のセットに含まれる温湿度・照度・土中温度・土中水分のセンサーをまとめて接続可能な送信機です。
ソーラーパネルを搭載しており、15分毎のデータ送信で約2週間電池がもちます。よほどの曇天続きでなければ半永久的に動作します。通信速度は1.25kbpsです。
LPWAのひとつであるEnOceanプロトコルで通信を行うため、環境にもよりますが、数100メートルから最大2キロメートルの距離で通信可能な優れものです。
ソーラー電源で動作し続けるなんて凄い。
受信機 (SX-95ER102)
送信機 (SX-95ER101)とペアになる受信機です。
障害物や干渉の多い森や市街地での受信可能距離は400m~1,000mとのこと。
見通しの良い屋外なら、長さ十数センチのモノポールアンテナ(写真中央)でも2km~3km離れたところからのデータを受信できます。
写真にはないですが、平面形状のパネル型アンテナを使えば開けた屋外で5km~7km離れた場所でも通信可能とのことです。
(いつか試してみようと画策中)
これらのセンサーが農場のデータを収集・送信してくれます。
データを集めてインターネットへ WAGO社 シーケンサー
農場のデータを集めてインターネットに送信するコンピューターです。
今回はWAGO社のシーケンサーを使用します。
写真左のシルバーのボックスが電源ユニットで、右側にある白いボックスがシーケンサー本体。
3G/4G LTEのSIMを差し込めば簡単にインターネット接続が可能です。通信SIMのほか、Ethernetの有線ケーブル差込口も2つ備えています。
陰になって見えませんが、右上の差込口にSiMICS(サイミックス)社の受信機を接続し、受信したデータを処理するように構成しました。
センサーから集めたデータをCSV形式のファイルに落とし込んでAmazon Web Service(AWS)のデータベースに蓄積するプログラムを組み込んであります。
シーケンサーに前述のセンサーを接続するとこんな感じ。
左下に各種センサー、そこから2系統のケーブルに集約されて右端下側の送信機にデータを届きます。黒いソーラーパネルが搭載されている機器が送信機です。
右にちょこんと飛び出したモノポールアンテナからデータが飛び出し、右端上側の受信機に到達、シーケンサーへとデータを送り込みます。
左上に電源ケーブルが伸びているのが見えます。
当然ですが、シーケンサーを動かすには電力が必要です。
送信機はソーラー電源で半永久的に動き続けますが、シーケンサーを動かすために電気を引き込まなければなりません。今回のプロジェクトでは、電力を確保するために農園に電気を引き込む予定です。
その辺りは次回の設置編でお伝えいたします。
次回は、準備万端!農場に機器を設置!
データがインターネットに無事に上がって・・・???
その様子を写真で少しだけ……
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つづく
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